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【コラム】ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)に関わるヘリウム供給不足と今後の見通しについて   後編 ~JASIS2023「ヘリウムの世界需給と日本の調達見通し:株式会社ガスレビュー 小泉 善樹様」~より

後編は株式会社ガスレビューの代表取締役編集長 小泉様より、ヘリウムについてや世界の需給そして今後の見通しについての講演でした。

まず工業用ヘリウムガスについて、空気中には0.0005%しか存在せず地中からヘリウムガスを採取します。しかし単体で採取する事はなく天然ガスの随伴ガスとして採取します。そして天然ガス田は世界的に限られており2021年時点で世界の約50%が米国、ついでカタールが約30%、いま話題のロシアが約5%を担っていた状況との事です。

そして本来であれば2020年からのcovid-19による世界需要縮小、さらには2021年には本来であればロシアが計画していた2つのヘリウム生産プロジェクトが2021年以降稼働すれば世界的な量的不足は解消される予定でしたが、2021年後半から想定外のシナリオが発生。

①ロシア ガスプロム 21年秋に爆発事故

②米国 BLM 21年冬にトラブル発生

③ロシアのウクライナ侵攻で、シベリアに送ったコンテナが帰ってこない→コンテナ不足で供給大幅減
④ロシアの生産プロジェクトが未だ機能せず(技術的トラブル&侵攻による経済制裁等)

そのような状況下で、中国やインドそして東南アジアを中心にヘリウムガスを使用するハイテク産業(医療用MRI・半導体・光ファイバー・宇宙ロケット・リニアモーターカー等)が急拡大し、ヘリウムガスを使用している事がさらに需給逼迫に拍車をかけています。

以上の事から、今後の展望について容易に想像出来るとは思いますが
・ヘリウムガス価格は上がる事はあっても、下がる見込みはない(ガスの特性上備蓄が出来ないもマイナス要因)
・新たな供給力増強がない限り、上記に書いたハイテク産業はますますこれから盛んになる事からタイト化は解消できない
・世界的なガス不足の解消はロシア次第
という、100%輸入国である日本において全く楽観視出来ない厳しい状況であるとの事でした。

前編でお伝えした通りここ数年、各メーカー各機種において代替ガス(水素・窒素)にての対応や、ガス使用量の削減対策など様々な取り組みがされていますが、古い機種によっては代替ガスに対応出来ない事・ヘリウムガスと比べて感度が1/2~1/10に落ちる事も踏まえていくと年数が経過した機種は、今後より厳しい状況になろうかと思います。
小林様も、利用現場でのガス回収・再利用、省ヘリウム化、また代替品(機器)への転換が必須、との事でした。

そういった事も要因なのか、ここ最近「SHIMADZU」「アジレント」のGC-MSのお問い合わせが増えております。
 今後の入れ替えの参考査定でも大丈夫ですので、お気軽に査定のご依頼をいただければ幸いです。


阪本

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