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【コラム】ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)に関わるヘリウム供給不足と今後の見通しについて   前編 ~JASIS2023「ヘリウム供給不足と環境分析:国立環境研究所 鈴木規之様」~より

9月6日昨日より開催されているJASIS2023、その中でのトピックスセミナー「ヘリウム供給不足と環境分析:国立環境研究所 鈴木規之様」と「ヘリウムの世界需給と日本の調達見通し:株式会社ガスレビュー 小泉善樹様」のセミナーを聴講してきました。

このサイトをご覧いただくほとんどの方は、環境分析に携わる方でさらにヘリウムガス供給不足問題は何年も前から供給不足という状況なので皆様方のほうがより実感があるとは思いますが(またよりお詳しい日本環境測定分析協会等のヘリウム代替ガス研究メンバーの方もおられると思います)、セミナーでお話があった今後の状況について・また体替案についてのお話を少しさせていただければと思います。

前半は国立環境研究所の鈴木様の講演で、対象となる分析法の洗い出した結果の説明・当ガスの使用状況に関する実態調査結果の説明・各研究所等からの当課題に対しての解決への可能性のある方法・水素ガス・窒素ガスへ変更した場合等についてお話がありました。

ご存じの通り、まずヘリウムガスを使用したGC-MSにおける測定物質はVOC・塩ビニルポリマー・クロロホルム等で特にベンゼンの優先取組物質のVOC及びそれ以外の多成分VOCが優先度がもっとも高い物質、つまり環境大気測定が最も影響を受ける重要度が高いという事です。

 次に令和4年度における地方環境研究所におけるヘリウムガスの使用状況に関する実態状態調査結果として
①十分確保済みで、需要ひっ迫による影響はない 約5%

②今年度(R4)は確保出来たが、来年度分の見通しは立っていない 約75%

という状況で直近はなんとかなるが、今後の先行きは不透明という結果でした。(つまりR5、もしくはそれ以降は見通しがたっていない)

そしてこの問題を解決への可能性がある方法について、こちらも既知の通り①キャリアガスの変更(水素・窒素)②GCのまま装置の変更(APGC)③LCの変更④イオン源の変更⑤ガスセーバーの利用等です。
 しかし①キャリアガス変更はMS感度が1/2~1/10程度ヘリウムより落ちるケースもある、農薬等で比較的スペクトルが変化する例がある等問題点もあるようです(各社最新機種では代替ガスを使用出来る機種が発売されています)。②について、鈴木様曰くAPGC(ウォーターズ)では窒素キャリアで感度低下なしに変更可能との報告がある、との事でした。

 最後に、ヘリウムガス供給不足に対する環境分析の対応について鈴木様の私見として

・現時点では完全には方向性が定まっていないようにみえる

・さまざまな可能性を並列的に試行していくことになるか

との事で、大学・研究機関、分析機器メーカー、分析事業者様等の知見を集約して効率的に開発する必要がある、との事でした。

後編に続く
                             阪本

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