☆≪コラム≫昨今の日本の異常気象について
2024/06/19
今年1月に、2023年は非常に暑い年だったというコラムを書きましたが、先日(6月7日)発表された環境白書によると、2023年の世界の年平均気温は産業革命前より1.45℃上昇し、やはり観測史上最高でした。
2015年のパリ協定で決定した、2020年以降の温室効果ガス削減に関する世界的な取り組みの目標「産業革命前からの平均気温上昇を2℃に抑える(1.5℃を目指す)」いわゆるTipping Pointを、早々に超えてしまいそうな状況が明らかになりました。
もちろんこの温度上昇は温室効果ガス(CO2)等の増加による起因という事は、もはや疑う余地もありません。(図を参考にして下さい)
国連のグテレス事務総長は6月5日、深刻化する気候変動への対応の一環として、化石燃料産業の広告を規制するよう全ての加盟国に求めました、また報道機関やIT企業に対しても化石燃料に関する広告を掲載しないよう呼びかけました。そして「何十億年にもわたって地球上の生命を形成してきた巨大な力の中で、人類はレーダー上の小さな一点にすぎない」「だが、恐竜を絶滅させた隕石のように、人類は絶大な影響を及ぼしている」と警告。
「気候(変動)において、われわれは恐竜ではない。隕石だ。人類は危険にさらされているだけではない。われわれこそが危険なのだ」と述べ、人類は「気候変動という地獄へ向かう高速道路から降りるべきだ」と主張しました。
さて今回は、先日三重県環境学習情報センター主催の環境学習講座「沸騰する地球で異常がニューノーマルに どうなる地球 どうする人類」(三重大学大学院 立花義裕氏)という講座を受講したので内容を皆さんにお伝えさせていただきます。ちなみにこの立花氏はこの1年間だけでも「ニュースウォッチ9」「報道ステーション」など約数十回TVに出演されている非常に有名な気象学(異常気象)専門の方です。
さてまず最初になぜ異常気象が起きるかというサイクルを簡単に説明すると
①CO2増加による北極温暖化(氷が溶ける事による氷上の熱反射減少&海洋の熱吸収)
②赤道付近と北極付近の温度差が縮まる事により偏西風が蛇行
(北極の寒気と熱帯の暖気の間を通っているのでその南側は暖かく北側は寒い。偏西風は北極の温暖化で熱帯との温度差が小さくなると弱まるメカニズムがあり、日本列島付近で上層の太平洋高気圧の張り出しを受けて、北へ蛇行します。日本は南側に入り気温が上昇しやすい)
③もう一つ、より重要なのは日本近海の海水温の高さです。
(日本の太平洋側には赤道付近からの暖かい黒潮が流れていて、通常は房総半島付近から東へ進むが、海流の速度を左右する偏西風が弱まり黒潮の速度が落ち、東北北海道へ北上してしまうとの事です。九州四国で獲れるブリが北海道で豊漁なのはこの影響との事です。)
そして高温になった海水温は、秋冬になっても冷めず(お風呂と同じく、空気中の気温より水中のほうが冷めにくい)冬場に多くの水蒸気(雲)が発生し、北風に乗って大雪・大寒波をもたらすのです。
つまり温暖化によって猛暑と豪雨、そして暖冬なのに大寒波&大雪は必然の事(異常ではなく、ニューノーマル)なのです。
そしてこれが最初に記載した1.5℃というTipping Pointを超えると、ますます北極の氷がなくなる→熱を吸収する→地球に熱がこもる&CO2が増え続ける&温度が上昇するという悪循環に歯止めがかからなくなります。
まさにこの危機が、数年後・10年後遠くない将来に近づいています。
ではこれを止める為に、我々は何をすべきか?何が出来るか?
それは「スマートムーブ」です。
移動手段として多くのCO2を発生する自家用乗用車(平均で137g/km)の使用を減らし、公共交通機関(特に電車はわずか約20g/km)に出来る限りシフトしていきます。
私は以前から「乗換案内」というアプリでCO2排出量を確認し、遠方へは極力電車を使用し現地でレンタカーを借りるようにしています。
例えば伊勢から東京470㎞行くのに自動車では60㎏ほどCO2を排出しますが、電車の場合CO2の排出を9.2kgまで抑制出来ます。
少し前に車を乗り換える時に、今まであまり意識をしなかったCO2排出量の少ない車に乗り換えたましたが、みなさんも乗り換えを検討される際は、CO2排出量を調べて車選びをしてみてはいかがでしょうか。
長くなりましたが、立花氏の表現する「沸騰する地球」という表現は、現実化してきました。一人ひとりが他人事ではなく、自分事として危機感を持ち実行し、一人でも多くの人に伝えていく事が重要だと感じ、書かさせていただきました。
阪本